ここ最近、開発プロジェクトの‘政治性’ついて議論になることがたたありました。開発が政治的であってはならないという意見もあり、そのことについて少し考えてみました。
開発とは、国民一人一人が、生きるうえでの選択肢が増えるような社会的変化を起こす行動の集合体と言っていいでしょう。そして、そのプロセスでは、政府、市民社会、ビジネス、ドナーなどがあらゆる形で絡み、このプロセスにそれぞれの分野で行動をおこします。北欧系のドナーが人権擁護の重要性を訴え、途上国政府が自国の業者やコンサルタントを優先的につかうことを勧告し、建設会社がコントラクトを勝ち取ろうとし、国連がドナーを調整しようとし、ある選挙前の政治家が地元で大規模プロジェクトの開会式をしたがったりするわけです。いったいこのプロセスが政治的でないことはありうるでしょうか?
少し前に、知り合いが翻訳に関わった「最前線のリーダーシップ」という本を読みました。この本はよくある教科書的なリーダーシップ批評とは違い、人が変化を起こそうとする時、どのような困難に遭遇し、どのような対応ができるかという非常にリアルなイシューを取り扱ったものです。開発と政治について考えていると、この本のことを思い出しました。様々な意図が絡まりあう開発のプロセスのなかで、意見をまとめ、ヒト・モノ・カネを動かし、少しずつポジティブな変化をおこしていく。これは、空想上の真空状態で起こることではないのです。開発は政治的プロセスです。
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