クリントン元大統領や、ブレアー元首相などの選挙アドバイザーを務めたマーク・ペンの書いた「マイクロトレンド」という本を読んでいる。フラット化した世の中では、「メガトレンド」といった、単一で国民・世界全体を巻き込むような流行は起こらず、相反するような小さなスケールの「流行」が様々なレベルで起こっており、これらの小さな流行が世界を左右するような力をもつという。
そして、例として70以上の小さな流行を統計を駆使しながら説明している。軽いテーマでは、若者の間の編み物の再流行、ユダヤ教信仰者のデート・結婚の相手としての人気増加などから、もっと硬いテーマの、退職しても働き続ける労働力の増加、ジャーナリズムや弁護士などの「言葉を使う職業」での女性の進出など様々なトレンドを分析している。これらのトレンドの政策や選挙キャンペーンに対する影響にも言及している。
さて、シエラレオネのような最貧国では、この本の議論がどのような示唆を与えてくれるだろうか。
まず、先進国では豊富に存在するデータ自体が存在しない。よって、選挙キャンペーンなどは、暗中模索の中行われる。去年の選挙での政権交代の直前まで、当時の政権政党は自党の勝利を確信していた。また、データが存在しないことによって政策の策定にも影響がでる。ミレニアム開発目標などのようなもう8年も前に合意された枠組みに関しても、データが完全には集まらない。このような中でどのように民意を汲み上げるかは重要な課題だ。
また、いくらシエラレオネのような国でインターネット(首都圏の富裕層のみが使う)が進出したからと言って、先進国で見られるようなソーシャル・ネットワーキングの輪はなかなか広がらない。となると、もうすこしローテクの携帯電話、コミュニティーラジオなどのメディアを最大限に活用することに焦点が絞られる。UNDPが今年から始める「開かれた政府」プロジェクトは、このようなローテクメディアを駆使し、国民と政府の対話を向上させ、大統領府・議会・司法機関の説明責任向上を目指すものだ。
このような小さなトレンドが社会に大きな影響を及ぼすという分析は、「ティッピング・ポイント」でも展開された。私の友人で元同僚のKも「デルタを起こす」(微分積分を覚えていますか、、、?)といって外資系コンサル会社を辞め、子供の教育制度を革新するための新しい会社を起こした。さらに開発分野では、アショカというNGOが「アショカフェロー」という社会企業家のネットワークをサポートしている。このようなマイクロトレンドは、もはや第三者として観察するべきものではないのだろう。私自身はどのようなデルタを起こせるのだろうか。
5 件のコメント:
世の中で開発されている多くのものは、途上国でも、何らかの形であてはめることが可能という考え方は、この数か月の勉強でかなり自分の中で、確信を深めてきました。
しかしながら、では、どのように適用するのか、持続可能性を意識した場合、どのように実現のフレームを創り出せるのか、という点では、傍観者の立場から動けないことにもどかしさも感じます。
イノベーションの基本は、ある分野で使われているアプローチを他の分野に応用することにあるとも言われています。学校にいる間にいろいろアイデアを温めて、フィールドで試す時期を待てばいいのではないでしょうか。
Toshiさんのブログを読んで、"Tipping Point"を読みました。
とても面白かったです。オタッキーな僕は Mavenかな。
"Micro Trend"も購入済み。ただ英文だと読むのに時間がかかるんだよなぁ。。
なりなりさん、どうも。5月に日本に帰った際、マイクロトレンド日本語訳版を見ましたよ。
まじですか?
まぁでも英語の勉強も兼ねて英文で読みます。
いまさらながら考えると英語でモノが読めるかどうかで圧倒的に情報量が違うよね。
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