少し背景を説明してみましょう。UNDPの大部分の活動は、中長期開発戦略を政府と一緒につくったり、行政府、立法府、司法といった国家の柱を強化したり、環境政策をつくったりという仕事です。ところが、インド洋での津波、そしてその後のパキスタンでの地震など、超大規模の自然災害がここ数年頻繁に起こりました。ここで問題になったのが、この問題-‘災害や紛争直後、人道援助機関が食糧を配布したり、シェルターを確保しているあいだ、UNDPなどの中長期的開発を対象にしている機関が何をすべきか’ということ。
で、その答えを見つけ出そうというなかで、新たに出てきたのがこの初期の復興という概念。定義はこれ:
- Early recovery is a multidimensional process of recovery that begins in a humanitarian setting. It is guided by development principles that seek to build on humanitarian programmes and to catalyse sustainable development opportunities. It aims to generate self-sustaining, nationally owned, resilient processes for post-crisis recovery. It encompasses livelihoods, shelter, governance, security & rule of law, environment and social dimensions, including the reintegration of displaced populations.
あまりよくわかりませんが(実際この定義をめぐって今でもいろいろな議論が起こっています)個人的な理解では、中長期的開発援助のいいところ(持続可能性)を人道支援が行われている間から活かして中長期的な要素をもった活動を開始し、かつ中長期的計画をたてて、人道支援が終わる前から持続的な支援へのギアに変換しましょうということでしょうか。Early とついているからには、ただの復旧とは差別をつけたいようです。紛争や災害後の18か月を目安に初期とそうでない復旧を区別しようとしているようです。
ではUNDPが具体的に何をするのか?これについてワークショップではさんざん議論をしましたが、今のところ以下のようなことをすべきだということに落ち着いています。
- ‘初期の復旧’というクラスターを、人道的クラスター(住居、水、食糧など)と並行でつくり、他の機関をコーディネートする
- 中央政府が危機に対応できるような支援をする(人道支援機関は政府のキャパシティーを強化することよりも、被害者を救済することに優先順位があるからでしょうか)
- 地方政府が危機を調整できるような支援をする(同上)
- コミュニティー開発の原理を導入し、被害を受けた地域の復興を助ける
- 紛争解決(これは例えば、出生証明や土地の権利書がなくなった場合などに対する対処)
- DDR
- 基本インフラの修復(小規模の道路復旧、水道官をつなげ直すなど)
- 短期的雇用創出(災害地にある瓦礫をきれいにすれば日給をいくらあげるなど)
- 中長期的戦略づくり
さて、このリストをざっと見て考えてみてほしいのですが、この‘初期の復旧’とは新しい概念としての意義がどれほどあるのでしょうか。Reconstruction, recovery, rehabilitation, peacebuilding などなど昨今多くの概念が生まれています。新しい概念を作るのもいいですが、この辺で関係のある既存の概念を整理する必要があるのかもしれませんね。どうでしょうか、、、?
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