2008年12月4日木曜日

アウトライアーズ(Outliers):例外的な成功者達

Tipping PointBlink!がベストセラーとなったマルコム・グラッドウェルの最新刊、Outliers: The Story of Successes を読んだ。この本の議論は、個人のIQや努力などといった成功の秘訣と言われるものは、実際は本当の成功の原因に一部でしかなく、家庭状況、育った時代や運といった要素が大きく影響を及ぼしているというもの。

例えばカナダのホッケーチームやチェコのサッカーチームの代表選手のほとんどは1月から3月生まれで、これらの月に生まれた人達はいつも同じ学年のなかでは最年長で(同じ年の1月生まれから12月生まれの生徒が同じ学年に入学する)、知能的にも肉体的にも他の生徒よりも勝っており、この少しのアドバンテージがこのグループの自信を増長させ、さらに技術が上達していくという。逆にいえばある年の後半に生まれると、それだけ不利な競争を強いられることになり、結局トッププレーヤーは生まれていない。

さらに、ビル・ゲイツなどの生まれ育った環境や、早期の最新のコンピュータへの容易なアクセスを説明し、能力だけが今のビル・ゲイツを作り上げたのではないとも言う。その他にも、今世紀の最も資産の大きいひと100人を分析し、1930年代に生まれた人が最も多く、その理由が、世界恐慌後の経済回復と、人口の少なさ(よって比較的競争率が低い)、第二次大戦の時期などを挙げている。

議論としては面白く、取り扱っている事例によってはよくリサーチが出来ている。開発援助に携わっている者の視点から言えば、決定論的要素がかなり大きく、たとえば今のシエラレオネでは、どれほどの「成功者」を生み出す土壌があるのか考えされられる。彼の論理が正しければ、例えば成功を生み出す条件の揃っている国、分野、地域に開発援助投資を集中させるということも考えられるかもしれない。

とはいえ、本の後半になるほど、色々な成功例を強引に彼の議論で説明しようとしている感が否めない。結論として、前作ほどの読み応え感はないというところか。

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匿名 さんのコメント...

fife25800