2007年12月30日日曜日

交渉スキル

日々の仕事でよく感じていることが、交渉スキルの必要性。政府とプロジェクトの管理体制について、組織内部でリソースアロケーションについて、短期コンサルタントとフィーについて、スタッフと仕事のデッドラインについてなどなど、日々様々なレベルで何らかの‘交渉’にかかわることが多いのです。これは公共分野でもビジネスの世界でも同じで、事実エキュゼクティブを対象とした交渉スキル育成のコースは山ほどありますよね。

UNDPでは、人材教育に対する投資を増加させており、Virtual Development Academyという、オンラインのコースを充実させてきています。またこの交渉スキルの分野での人材育成の必要性を感じて、数年前からハーバード大・MITが共同で開発したパブリック・ディスピュート・プログラムと共同でオンラインのコースを提供し始めました。私もどんなもんかなと思って受講してみました。

このコースは、3か月のコースで、以下のモジュールからなりたっています。
  • Module 1: Introduction
  • Module 2: Preparation for Negotiation
  • Module 3: Techniques of Value Creation
  • Module 4: Techniques of Value Distribution
  • Module 5: Implementation and Follow-Up
  • Module 6: Multi-Stakeholder Consensus Building
  • Final Exam
内容的には要するに、
  • 交渉に備えて、関係者が交渉の場で要求しているもの(ポジション)ではなく、ちゃんと各関係者の本当に欲しているもの(インタレスト)を理解しなさい
  • 自分自身を含めたすべての関係者の‘譲ってもいい最低限のライン’をはっきり理解しなさい
  • 交渉中には、各関係者の利害の理解にもとづき、皆の利害の合計が増大(このコースではバリュー創出と呼んでいる)するようなオプションを考えなさい
  • その後、利害を分ける際(バリュー配分)、インタレストに応じて配分しなさい
  • 交渉自体に利害がない、第三者を入れて、交渉のファシリテーションをさせるといいですよ

といったことを教えています。

各モジュールで、コースワークがあり(現実に自分が関係した交渉の例を挙げながら3つの質問に答える)2人のインストラクターが、20人ほどの受講者を担当し、コースワークの採点をし、コメントを返してくれるという非常にシンプルなもの。コースワーク自体は実は結構大変で、私も毎週末3-4時間を割いてコースワークを消化していました。ついに先週全コースを終え、最終試験もパスし、晴れて交渉スキルコースの修了証をもらうことになっています。

修了証はいいけれど、いったい何を学んだのだろうかと少し考えてみました。結論は、この概念を今後の実際の交渉で実行してみて、自分の体で学んだことを消化するまでは学習は終わっていないということ。つまり、上にあげた内容は、必ずしも‘うーん、目からうろこが落ちた!’というほどのものではないですが、実際の交渉で意識的にこれらの概念を実行することが一番難しい点でしょう。このようなことを考えていると、次のことを思い出しました。

私は若かりし頃、民間のあるコンサルティング会社で働いていたことがありますが、入社した直後のトレーニングで、様々な‘問題解決法’なるものを教え込まれたわけです。どんなことを教えられるかというと、

  • 会社の課題をまずはしっかり理解せよ。
  • 課題が分ったら、その課題を分析し(イシュー・アナリシス)、原因を分解せよ。
  • そして打ち手のオプションを洗い出し、最も効果的な打ち手を具体的に描き、その実行プランをつくれ。
といったもの。まあ実はもっといろいろなテクニックがあるわけですが、要するにこんな感じなわけです。誰が読んでも、そんなこと常識ちゃうのと思うでしょうが、これを実際に会社が直面している問題にたいして、アプライするのが簡単ではないのです。自分で、こんなこともうやっているよ、と思っていても、やり方が甘かったりすることが多いのです。

というわけで、「頭では理解していても実行は難しい」という自分で学んだことが、この交渉スキルコースの学習にも当てはまるはずだと思ってます。よって、今後は学んだことを、意識的に実行するということが大事。精進精進、、、。

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