2008年11月11日火曜日

下流支援の時代か

私の提言プロジェクトのコミュニティー開発シリーズに関して、国連フォーラムに投稿した文を少し編集して掲載:

UNDP などの国連機関は、開発戦略枠組みがなければ援助が様々方向に向き、結局全体として、援助の効率性が低下するというロジックで、開発の「上流」、アップストリームと呼ばれる開発戦略や政策策定によく関わる。同様に、政府の能力向上、経営改善、などのガバナンスの分野で、国家が果たすべき役割を果たすことができるように支援をする。公務員の数を減らすとか、省庁間の機能的分業体制を強化するとか、汚職をなくすとかそういった類の話。

こういった「上流」の支援は、「上流」であるが故に、最終的受益者である貧困層の人々との接点が少なくなりがちだ。ロジックとしてはよく理解できても、実際にこういった上流の分野における改善が、MDGの指標に表れるような実際の社会変化に反映されるには、中央政府、地方政府のキャパシティーや財源などさまざまな要素が関係するため、MDGの指標などにすぐに反映されることはない。

一方コミュニティー開発系の「下流」、ダウンストリーム支援は、草の根レベルで最終的な受益者を直接に対象とするため、支援のもたらす結果が見えやくなる。田中氏の提言でも出てくる小規模グラントや、大久保氏の提言で出てくる耐震技術を使って再建された学校は、まさに直接人々の生活に影響を与えるもの。「ミレニアム村」などの試みも、やはり、最終受益者への結果を最適化するための試みで、近年の「上流」支援傾向をカウンターバランスするような意味もあるのではないかと解釈している。

もちろん開発援助は、上流、下流の両方が必要なわけだが、例えば同じ1億円を使うとしても、きれいにまとまった開発計画書を書きあげるのと、ある10の村で実際に飲み水を供給するのでは、どちらが援助として効果的なのかを考えてされられてしまうのも確か。

開発援助における下流支援をもっと強化すべきなのか。

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