昨晩は家から5分ほどで丘の上にあるカントリーロッジというレストランに行った。UNDPと新しく任命された大統領首席補佐官を含めた7人で今後の行政改革の方向性を話あうというもの。UNDPがマレーシアから連れてきた行政改革の専門家も2人いる。彼らはマレーシアの発展を裏で主導した(元)官僚でもある。彼らは2週間の滞在の間に、行政改革の一環として、結果重視の管理法(Results Based Management)の方向性をアドバイスする。
開発援助の分野で、他国の経験から学ぶことは非常に多い。そして、途上国が参考になる経験を探すときに、マレーシアなどのいわゆる‘南側’の経験が重宝される。大統領自身、マレーシアには特別の関心を持っているようで、何度もマレーシアの経験に言及しているようだ。一方、アメリカやヨーロッパ、日本などの先進国の経験は‘進みすぎ’ており、親近感が湧きにくく、さらに経験の適応性も低いとされる。
元消防署勤務のエジプト人の同僚が話してくれた経験を思い出した。彼は以前日本の消防システムを学びに数か月日本でトレーニングを受けた。参考になったかと聞いたところ、‘日本の消防システムは素晴らしい。でも進み過ぎていて、エジプトには全く参考にならない’と言っていたことを思い出した。‘南々協力’は開発の未来か?
2008年1月20日日曜日
日本発の開発政策
国連フォーラムには勢いがある。国連・政府職員、NGO、民間、学生メンバーからなるメンバーが2000人をこえ、ウェブ上、メーリングリスト上で、様々な国連・開発関係の情報が行きかっている。
私もこの取り組みに微力ながら関わらせてもらっており、ちょうど1年ほど前に世界各地に散らばる同士達(今ではタイ、中国、インドネシア、アメリカ、スーダンに在住)と「私の提言」なるシリーズを立ち上げた。組織横断的なメンバーシップを生かし、政策レベルの議論が出来れば面白いのではないか、と考えたところから始まった。特に現場で働く人たちが、日々、こうすれば開発援助がより効果的になるのではないかと思っていることを提言の形で書いてもらう。今まで、各自の頭で眠っていただけのアイデアがウェブを通じてパブリックになる。議論が盛り上がるように、できれば少し過激な位のアイデアの方がよい。提言を書く人も、国連、大学、NGO関係者がバランスよくなるように気もつかっている。
2007年の1月に平和構築・危機復興関係の提言シリーズで始まり、国連改革シリーズへと続いた。そして、今年から環境・エネルギー関係のシリーズを始めた。執筆者の方々に多大な御協力とプロジェクトチームの素晴らしい働きのおかげで、かなり質の高い提言が順調に揃ってきているのではないかと考えている。
日本の開発援助に対する貢献は、援助金額では世界でもトップレベル。更に質の良い日本発の提言を1つ1つ地道に蓄積し、政策面での貢献に少しでもつながればうれしい。
私もこの取り組みに微力ながら関わらせてもらっており、ちょうど1年ほど前に世界各地に散らばる同士達(今ではタイ、中国、インドネシア、アメリカ、スーダンに在住)と「私の提言」なるシリーズを立ち上げた。組織横断的なメンバーシップを生かし、政策レベルの議論が出来れば面白いのではないか、と考えたところから始まった。特に現場で働く人たちが、日々、こうすれば開発援助がより効果的になるのではないかと思っていることを提言の形で書いてもらう。今まで、各自の頭で眠っていただけのアイデアがウェブを通じてパブリックになる。議論が盛り上がるように、できれば少し過激な位のアイデアの方がよい。提言を書く人も、国連、大学、NGO関係者がバランスよくなるように気もつかっている。
2007年の1月に平和構築・危機復興関係の提言シリーズで始まり、国連改革シリーズへと続いた。そして、今年から環境・エネルギー関係のシリーズを始めた。執筆者の方々に多大な御協力とプロジェクトチームの素晴らしい働きのおかげで、かなり質の高い提言が順調に揃ってきているのではないかと考えている。
日本の開発援助に対する貢献は、援助金額では世界でもトップレベル。更に質の良い日本発の提言を1つ1つ地道に蓄積し、政策面での貢献に少しでもつながればうれしい。
2008年1月16日水曜日
開発は政治的プロセス
ここ最近、開発プロジェクトの‘政治性’ついて議論になることがたたありました。開発が政治的であってはならないという意見もあり、そのことについて少し考えてみました。
開発とは、国民一人一人が、生きるうえでの選択肢が増えるような社会的変化を起こす行動の集合体と言っていいでしょう。そして、そのプロセスでは、政府、市民社会、ビジネス、ドナーなどがあらゆる形で絡み、このプロセスにそれぞれの分野で行動をおこします。北欧系のドナーが人権擁護の重要性を訴え、途上国政府が自国の業者やコンサルタントを優先的につかうことを勧告し、建設会社がコントラクトを勝ち取ろうとし、国連がドナーを調整しようとし、ある選挙前の政治家が地元で大規模プロジェクトの開会式をしたがったりするわけです。いったいこのプロセスが政治的でないことはありうるでしょうか?
少し前に、知り合いが翻訳に関わった「最前線のリーダーシップ」という本を読みました。この本はよくある教科書的なリーダーシップ批評とは違い、人が変化を起こそうとする時、どのような困難に遭遇し、どのような対応ができるかという非常にリアルなイシューを取り扱ったものです。開発と政治について考えていると、この本のことを思い出しました。様々な意図が絡まりあう開発のプロセスのなかで、意見をまとめ、ヒト・モノ・カネを動かし、少しずつポジティブな変化をおこしていく。これは、空想上の真空状態で起こることではないのです。開発は政治的プロセスです。
開発とは、国民一人一人が、生きるうえでの選択肢が増えるような社会的変化を起こす行動の集合体と言っていいでしょう。そして、そのプロセスでは、政府、市民社会、ビジネス、ドナーなどがあらゆる形で絡み、このプロセスにそれぞれの分野で行動をおこします。北欧系のドナーが人権擁護の重要性を訴え、途上国政府が自国の業者やコンサルタントを優先的につかうことを勧告し、建設会社がコントラクトを勝ち取ろうとし、国連がドナーを調整しようとし、ある選挙前の政治家が地元で大規模プロジェクトの開会式をしたがったりするわけです。いったいこのプロセスが政治的でないことはありうるでしょうか?
少し前に、知り合いが翻訳に関わった「最前線のリーダーシップ」という本を読みました。この本はよくある教科書的なリーダーシップ批評とは違い、人が変化を起こそうとする時、どのような困難に遭遇し、どのような対応ができるかという非常にリアルなイシューを取り扱ったものです。開発と政治について考えていると、この本のことを思い出しました。様々な意図が絡まりあう開発のプロセスのなかで、意見をまとめ、ヒト・モノ・カネを動かし、少しずつポジティブな変化をおこしていく。これは、空想上の真空状態で起こることではないのです。開発は政治的プロセスです。
2008年1月13日日曜日
ビーチ
偶然にもお隣さんのイタリア人の夫婦(イタリアのNGOに勤務)も、アパートの大家のレバノン人家族もビーチに来ていました。そう、シエラレオネにはあまり娯楽がありません、、、。
しばらくビーチでくつろいだ後は、そこから車で10分ほどのこれもビーチ沿いに位置する、シーフードがおいしいイタリアンレストラン、フランコでロブスターに舌鼓をうった。イタリア人経営の店でなかなかおいしい。
楽しい週末をすごした。やはりたまには外にでてリフレッシュしなければ。
2008年1月12日土曜日
国民総幸福
Gross National Happiness(国民総幸福)という言葉を聞いたことありますか?
これは、ブータンで実際に使われているコンセプトで、国民の幸福度を測ろうというもの。以前、国の発展を経済指標だけでは測れないという認識に基づき、人間開発指標が作られたことに触れましたが、これも同じ流れ。客観的な社会経済指標だけではなく、ウェル・ビーイングという主観的視点をくわえて開発・進歩を定義し直そうというもの。よって、国民総幸福は自然に定量的ではなく定性的な概念となります。ある国際会議に招待されたブータンの代表は、‘じゃあどうやって幸福度を測るのか’聞かれと‘Smile’と答えたそうです。方法論はさておき、元英首相のアドバイザーも、政府のパフォーマンスは今後10年以内に、国民をどれだけ幸福にしたかで測られるだろうとも予測したようです。
以前どこかのドキュメンタリーで見ましたが、国民が幸せと感じている割合は、平均的には先進国と途上国の間であまり違いがないそうです。一方、物欲を断ち切った仏教僧の多くは幸せ度が高いという結果も出ていたと記憶しています。常に発展、進歩、開発、幸福とは何か自問することは大事ですね。
これは、ブータンで実際に使われているコンセプトで、国民の幸福度を測ろうというもの。以前、国の発展を経済指標だけでは測れないという認識に基づき、人間開発指標が作られたことに触れましたが、これも同じ流れ。客観的な社会経済指標だけではなく、ウェル・ビーイングという主観的視点をくわえて開発・進歩を定義し直そうというもの。よって、国民総幸福は自然に定量的ではなく定性的な概念となります。ある国際会議に招待されたブータンの代表は、‘じゃあどうやって幸福度を測るのか’聞かれと‘Smile’と答えたそうです。方法論はさておき、元英首相のアドバイザーも、政府のパフォーマンスは今後10年以内に、国民をどれだけ幸福にしたかで測られるだろうとも予測したようです。
以前どこかのドキュメンタリーで見ましたが、国民が幸せと感じている割合は、平均的には先進国と途上国の間であまり違いがないそうです。一方、物欲を断ち切った仏教僧の多くは幸せ度が高いという結果も出ていたと記憶しています。常に発展、進歩、開発、幸福とは何か自問することは大事ですね。
2008年1月10日木曜日
開発職と外交職
日本の政府援助機関の副総裁がシエラレオネにいらしています。国連大使など外務省での重用なポストをへて現在の仕事を最近からはじめられたそうです。昨晩国連機関と主要ドナーの代表者を招いたディナーに行ってきました(私のボスは皆まだ休暇中なので)。
家の近くのカントリー・ロッジというホテル内のレストランで7時からということでしたが、ちょっと遅れて7時半ごろに到着するともうほとんど集まっており、みなワインを片手に談笑しておりました。その後すぐに、席について食事をはじめましたが、副総裁がはじめの挨拶。非常にスピーチに慣れている(当たり前か)。
そして、皆そろそろワインがまわってきたところで、もう一度スピーチ、とおもいきや、歌を歌いだしました。シエラレオネにちなんだ替え唄など合計3曲。なかなか反応がいい。ある国の代表ものって一曲。非常に皆もなごんで、たのしく食事が終わりました。
なめらかなスピーチを含め、これは‘宴会芸’を超えた‘外交スキル’でしょう。こういったスキルは是非学ばなければ。開発援助の世界は、国際外交との接点がすごく大きいですが、開発業界でこれほどスムーズにゲストをウェルカム出来る人は、数える位しかあっていないような気がします。そういえば、東ティモールにいた時にも、ある友人のパーティーで、ある国の大使がいきなり演奏していたバンドにリクエストをして、テトゥン語(東ティモールの言葉)でティモールの歌を歌い大盛況だったことも思い出しました。
外交職と開発職の違いなのでしょうか。それとも個人の力量なのでしょうか。まだまだ学ぶことが多い、、、。
家の近くのカントリー・ロッジというホテル内のレストランで7時からということでしたが、ちょっと遅れて7時半ごろに到着するともうほとんど集まっており、みなワインを片手に談笑しておりました。その後すぐに、席について食事をはじめましたが、副総裁がはじめの挨拶。非常にスピーチに慣れている(当たり前か)。
そして、皆そろそろワインがまわってきたところで、もう一度スピーチ、とおもいきや、歌を歌いだしました。シエラレオネにちなんだ替え唄など合計3曲。なかなか反応がいい。ある国の代表ものって一曲。非常に皆もなごんで、たのしく食事が終わりました。
なめらかなスピーチを含め、これは‘宴会芸’を超えた‘外交スキル’でしょう。こういったスキルは是非学ばなければ。開発援助の世界は、国際外交との接点がすごく大きいですが、開発業界でこれほどスムーズにゲストをウェルカム出来る人は、数える位しかあっていないような気がします。そういえば、東ティモールにいた時にも、ある友人のパーティーで、ある国の大使がいきなり演奏していたバンドにリクエストをして、テトゥン語(東ティモールの言葉)でティモールの歌を歌い大盛況だったことも思い出しました。
外交職と開発職の違いなのでしょうか。それとも個人の力量なのでしょうか。まだまだ学ぶことが多い、、、。
2008年1月7日月曜日
政権交代のダイナミズム
ご存じのようにシエラレオネでは、去年8-9月に行われたの大統領選挙の結果、紛争終了後初めての政権交代が民主的に行われました。先進国のように基盤のしっかりした官僚制が整っていないこともあり、新たなビジョンを打ちたてて当選した総人民会議党(APC)が基本的な政府実務の執行に加えて新たな改革イニシアティブを実行していくには相当の努力が必要です。
新政府就任から3か月以上が過ぎた今、新たに任命された大臣、副大臣全員とともに、今後3年間の国家戦略の優先事項を議論するリトリートが開催されようとしています。その中でも中心的役割を果たすのが、新しい大統領をサポートする戦略・政策委員会。これはたとえば英国の首相官邸内に居る様々なアドバイザーが果たしているような、非常に重要な役割を期待されています。シエラレオネ人で元国連のOBの数人がその委員会の中心アドバイザーとして名を連ねています。
我々も黒子に徹しながら、この委員会のバックアップを去年から行っており、他国の首相・大統領アドバイザリーシステムのリサーチや、新たな国家戦略のフレームワークづくりのプロセス、経営指標管理体制などに関する議論を進めてきています。
紛争後初めての政権交代。紛争以前の長期APC政権の是非はともかく、新たにカムバックした政党のメンバーとその取り巻きたちの意欲は非常に高い。できる限り質の高いサポートを続けていきたい。
新政府就任から3か月以上が過ぎた今、新たに任命された大臣、副大臣全員とともに、今後3年間の国家戦略の優先事項を議論するリトリートが開催されようとしています。その中でも中心的役割を果たすのが、新しい大統領をサポートする戦略・政策委員会。これはたとえば英国の首相官邸内に居る様々なアドバイザーが果たしているような、非常に重要な役割を期待されています。シエラレオネ人で元国連のOBの数人がその委員会の中心アドバイザーとして名を連ねています。
我々も黒子に徹しながら、この委員会のバックアップを去年から行っており、他国の首相・大統領アドバイザリーシステムのリサーチや、新たな国家戦略のフレームワークづくりのプロセス、経営指標管理体制などに関する議論を進めてきています。
紛争後初めての政権交代。紛争以前の長期APC政権の是非はともかく、新たにカムバックした政党のメンバーとその取り巻きたちの意欲は非常に高い。できる限り質の高いサポートを続けていきたい。
2008年1月5日土曜日
シエラレオネでの生活

家自体は、3階建ての大きな建物の3階におり、大きなバルコニーからは海が見え、夕方には日没もきれいに見えます。2階には、特別法廷で働くアメリカ人の女性が住んでおります。一階は日当たりがあまりよくないためか、まだ誰も住んでいません。日中は1人、夜間は2人のセキュリティーガードがおり、また、ソーリーという名の何でも屋の青年がコンパウンドに住んでおり、発電機が壊れたときの対応などをしてくれています。
典型的な平日は、こんな感じです。

ランチに何を食べるかというと、実はあまりオプションはありません。オプション1:オフィスの簡易食堂でシエラレオネ料理を食べる;オプション2:レバノン人が経営する隣の‘バシャ’というパン屋でシャワルマという中東系のサンドイッチを食べる;オプション3:車で5分ほどのレストランで、サンドイッチを食べる。とまあこのくらい。以前はよくオフィスの食堂で食べていましたが、最近は飽きて、もっぱらバシャで食べてます。


レストランも数えきれないほどあり、ショッピングモールが乱立するインドネシアのジャカルタ時代と比べるとかなり簡素な生活を送っています。以前いた東ティモールの生活に近い感じがします。実はこのような生活は結構気にいっており、発展途上国の現実を間近に見ることができ、開発に関わる者としては非常にいい勉強になります。また近いうちに身の周りにいるシエラレオネ人達の生活についても書いてみたいと思います。
2008年1月1日火曜日
2008年にむけて

明けましておめでとうございます。もう2008年ですね。シエラレオネに赴任して、9ヶ月が経ちました。早いものです。
去年のシエラレオネでの目玉は何といっても大統領・議会選挙が無事行われ、紛争後初めて政権が交代したことでしょう。また、平和構築基金の7つのプロジェクトが開始し、選挙にも貢献しました。その他、個人的にも、基本的な国の状況、チャレンジが少しずつわかり始めてきたというところでしょうか。
今年2008年は、政府にとっても、援助機関にとってもさらに大変な年になりそうです。2007年度のUNDP人間開発報告書では、177カ国中最下位にランクされるなど、まだまだ課題が山積みです。7月には、中央選挙よりもマネージが難しいとされる地方選挙が予定されています。新しいく政権を担う、総人民会議(APC)もベースラインが低いなか、目に見える結果を出し始めなくてはいけません。そのためにも、UNDPとして、政府を十分サポートできる基盤をさらに強化する必要があります。
明日は仕事はじめです。今年もがんばりましょう!
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