2008年8月12日火曜日

シエラレオネの軍隊と警察

今日仕事からの帰り際に、シエラレオネ軍の兵隊が道路整備をしていたので、ドライバーのヘンリーにそれとなく聞いてみた。今の軍隊は、以前に比べて統率がとれていると思うか?- まあよくこういう質問をよくヘンリーに聞いてみるのだが、やはり、ドナーが書く報告書を読んだり政府高官と意見を交換するとともに、「一般人」の肌感覚を理解するのは非常に重要だと思っている。

ヘンリーが言うには、格段の違いがあると。2002年の終戦以降、IMATT (International Military Advisory and Training Team)と呼ばれるイギリス軍主体からなる組織が、シエラレオネ軍のあらゆる分野でのトレーニングを行っている。コスト的にはかなりかかっているようだが、その甲斐もあってか、軍隊の規律は格段に向上していると言う。以前は兵隊の横柄な態度は目に余ったと言って、過去の出来事を話してくれた。

1993年頃に、ヘンリーは彼の叔父さんに会いに地元に戻った。彼の叔父さんの経営する地元の酒屋で、一人の兵隊が1ガロン(3.785リットル)のパームワインを飲んで泥酔していた。その兵隊は代金を払わずに、店を後にしようとしたが、この兵隊の横暴な態度にヘンリーは激怒して、「お金を払うか、私を殺すかどちらか選べ」と言って、兵隊に真っ向から対抗した。ヘンリーは打たれまいと、兵隊が手にしていた銃を奪い、取っ組み合いのけんかになった。村の住民が騒動を聞き、周りを囲んだ。他の兵隊2人が来てヘンリーを逮捕しようとしたが、住民が一部始終を見ていたのでそれも出来ず、結局この兵隊を車にのせその場を去った。

以前は相当、銃器を所持していることから、国内で「幅を利かせ」好き放題していたが、今のシエラレオネ軍の行動は見違えるものがあるという。

一方、国内の治安を維持する警察はどうかと聞いてみた。ヘンリーが言うには、全く駄目。賄賂を要求することが逆に最近増えているのではと言っていた。特に町中で運転をしているタクシーや乗り合いバスのドライバーは一番被害を被っているらしい。何かと言えばケチをつけて、1000円ほどの賄賂を要求すると言う。1000円と言えば、公務員の月給が1万円に満たないシエラレオネにとっては、計り知れない額となる。また、何か問題を調べてもらいたいときにも、賄賂を腹わなければ何も行動しないと。もちろんこのような現象は、シエラレオネに限らず、どこの途上国(一部の先進国もだろう)でも存在するが。

2つの治安部隊のこの違いはどこに起因するのか。考えてみれば、警察に対しては、IMATTの様な大規模なトレーニング体制が存在しない。同様の大規模なトレーニングに対する投資が必要なのだろうか。

0 件のコメント: