2008年2月2日土曜日

開発援助における評価-客観評価と自己評価どちらが有益か

開発援助の世界では、評価(Evaluation)が不可欠だといわれる。確かに税金を使って行っている支援が予定通り進み、今後の教訓をくみ上げるプロセスの必要性は大いにある。しかし、今までどうも、役に立つような評価報告書を読んだことがない。なぜだろうか、少し考えてみた。

  1. そもそも、計画フレームワーク、数値目標がはっきりしていないため、何をどう評価していいのか不明
  2. 質の高い評価コンサルタントがあまりいない
  3. 評価を行うタイミングがわるい
  4. 自己評価が軽視されている

お互い関連しているがこの4つが思い浮かんだが、ここでは特に2-4番目の要因について書いてみたい。

評価を行う際、まず開発援助機関では、Terms of Referenceを書いたら、評価者を探すプロセスを始める。これは大体、開発業界で長く仕事をしている独立のコンサルタントが多い。「客観性」を担保するため、ここでは、当該プロジェクトに関わっていない第三者を選ぶことになる。当事者が自分のプロジェクトを評価することには'Conflict of Interest'があるからだ。しかし、私の経験では、この第三者の質が往々にして悪く、プロジェクトの理解も浅く、もうプロジェクトが終わり当事者が他の国のプロジェクトにかかわっていたりして、結果として評価報告書の内容が全く使えないことが多い。

評価の客観性の大切さはよくわかる。しかし、この「客観性」を強調しすぎ、自己評価が軽視されるいるのではないか。軍隊や医療の世界ではAfter Actions Reviewといって、イベントごとに何がうまくいき、何がうまくいかなかったか、そして、それはどうしてか、今後の教訓は何かを議論することが定着しているという。これは当事者が出来事を振り返って率直に自己反省をするプロセスだ。このようなプロセスを開発業界にも定着させ、当事者による自己評価を強化できないか。第三者評価を放棄するのではなく、教訓が実際に当事者の骨となり肉となるように自己評価と両立させるのだ。

以前にも言及したマレーシアの元官僚ともこの意見について話したところ、同じ理由で「マレーシア政府の評価プロセスは、第三者を使うことを放棄した」といっていた(ただ、ドナーが支援しているプロジェクトについては第三者評価がいまだに続いている)。

Objective evaluation or self reflection, that is the question...

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