2008年2月22日金曜日

途上国内の「知識管理」

シエラレオネ北西部に位置するカンビア県での3日間の出張を終えて、金曜日の午後にフリータウンに戻ってきた。少し経緯を説明しよう。

地方分権法が2004年に制定されてから、それぞれの県がドナーの支援を受けながら様々な試みで地方分権を促進しているが、県同士で経験を共有する機会があまりない。さらに、UNDPがケネマ県で行っているプロジェクトと、JICAがカンビア県で行っているプロジェクトの目的に共通項があるのに、お互いの知識共有ができていない。いつもお世話になっているシエラレオネJICAの代表者と何となくこの二つの問題意識について話していた時に、じゃあ、レッスン共有をするワークショップができないかいう話になった。これがちょうど去年の10月頃だったと思うので、4か月後に実現したことになる。そして、ワークショップ自体も大成功に収まったと思っている。日本との電話会議を含め、何度もミーティングを行い、やっとここまでこぎつけた。関係者各位に感謝したい。

南々協力について以前書いたことがあるが、この国内での知識共有もその南々協力の延長だろう。いや、これは南々協力よりもっと進んだ形なのかもしれない。ガーナやボツワナの経験を、シエラレオネでどう生かそうかというよりも、シエラレオネのカンビア県の経験を、ケネマ県でどう生かそうかというほうが、地元の人たちにとってはよりしっくりくるはずだ。似たような社会経済状況で同じ法律を施行しようとし、同じような問題に直面する。ある県ではこのような対応をしていてうまくいった。またある県ではこのような対応をして失敗した、などの経験を共有することは、たとえば一億円の援助をすることにも匹敵するのではないか。

ここまで書いて、以前少し一緒に働いたUNDPの同僚が南米で行った取り組みを思い出した。南米での地方分権の経験を共有するためのワークショップを開き、大成功させたのだ。CNNで中継されるほどの一大イベントになったらしい。内容的にも、かなりよかったようだ。また、国連インドチームは、ソリューション・エクスチェンジと題したEメールベースの議論フォーラムを設け、MDGのゴールなど毎に政策議論を行い大きな成果を得ている。このような、フェイス・トゥー・フェイスとバーチャルを組み合わせた知識管理は今後も開発分野で大きな可能性を含んでいる。やはり開発援助はお金ではなく、アイデアではないだろうか。

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