2008年8月31日日曜日

フリータウンの見どころとは

ロンドン時代からの友人で、現在中国の上海で仕事をするTが今月の末にフリータウンに休暇で遊びに来るかも知れないと連絡があった。しばらく会っていないので(最後に会ったのがいつだったか思い出せない)、非常に楽しみだが、フリータウンの見どころが何かと聞かれ少し困った。

今まで友人が外から遊びに来て連れて行ったところは、市内の中心から車で50分ほどにあるビーチとイタリアレストラン。あとはチンパンジー園(←)。家から車で30分くらいのところ。それ以外は、家や近くのレストランでごはんを一緒に食べるくらい。
しかし、よく考えてみれば、特に用意された見どころは必要ないのかもしれない。アフリカが初めての人にとっては、普通の町並みや人、市場や地元の料理などを見ることだけで目新しいのかもしれない。私自身も初めて訪れる国では、そういったものを見ているだけで面白い。

2008年8月30日土曜日

Chasing the Flame - 戦火を追いかけて

サマンサ・パワー氏の近著、Chasing the Flameを読んだ。レバノン、ボスニア、コソヴォ、カンボジア、東ティモールなどの最前線の国で国連職員として30年以上働き、2003年8月19日に、イラクの国連オフィスで、自爆弾によって死亡した、セルジオ・デメロ氏の政治的伝記だ。脚注を含め600ページにもなる大著。莫大な量の資料と、多くのインタビューによる緻密なリサーチを元にし、非常に臨場感がある。前国連事務総長、コフィ・アナンの伝記、The Best Intentionsと比べても各段によく書けているだろう。ケニアからフリータウンに戻る飛行機内で、ほぼノンストップに9時間読み続けた。

デメロ氏の人間的なチャームと外交スキルについては、国連内での評判は噂程度には聞いたことがあった。特に、私が東ティモールで仕事を始めたのは彼が去った直後の2002年8月だったが、すでに多くの同僚が彼を懐かしがっていたのを覚えている。本の中で出てくるあるアメリカ人外交官によると、デメロ氏は「国連だけではなく、国際外交界の中で最も優れた人材」で、「国連がどのように存在でき、どうあるべきかを体現している人物」だったという。 (P402)

体に「国連色の青い血」が流れると言われるほどの国連の「信者」で、いつも国連憲章を持ち歩いた。常にフィールドを活動の拠点とし、国連の後輩たちには「常にフィールドで仕事をしろ。それしかない。私はそうして働いてきた。現場にいることに意味がある。それ以外は全く重要でない」とアドバイスをする。(P222) 「人権を侵害」したクメール・ルージュや、セルビア政府の高官と近づきすぎと言われながらも、彼らを巻き込まなければ平和は達成されないと信じ、積極的に交渉を持ちかける。

なぜ私自身、この世界に入り込んだのかを再確認させてもらった。是非日本語訳が出て、日本の多くの人に読まれるとを願う。

2008年8月28日木曜日

ケニアのサファリでかんがえた

一週間のサファリ旅行を終えて今日シエラレオネに帰ってきた。これほどの動物(しかも野生の)を見たのは今までで初めて。そもそも、ライオンなどを見たのも、小学校時代に行った動物園以来か。

 

シエラレオネと比べるのもどうかと思うが、最近の政治状況を差し引いても、ケニアはかなり進んでいると感じた。15年くらいたっても、シエラレオネがこれほどの状態にまで持っていくのは難しいのではないか。道路などはかなり整備されているし、スーパーマーケットの品揃えも多いし、そこに来ていた客だけで判断しても、車を所有するミドルクラスの数がかなり多そう。旅行を手配してくれた業者のスタッフの対応、泊まったホテルでのスタッフの対応など、シエラレオネでは考えられないレベル。

 

さて、サファリだが、大自然を満喫した一方、少し罪悪感を感じることとなった。マサイ族の村と称する場所で運転手が車を止め、25ドル払って、マサイ族のダンスや生活ぶりを鑑賞するというアクティビティーがあったが、彼らの「やらされている感」を強く感じた。オーストラリアのアボリジニ地域を訪ねた時とよく似た感覚。また、マサイマラ国立公園では、公共の電気が通っていないらしく、よってホテルでは発電機をじゃんじゃん稼働させる。以前、個人レベルでのCO2排出量について書いたことがあるが、このサファリ観光産業関係で、どれだけのCO2 このをきれいな大自然に排出しているかと思うと少しぞっとする。また、サファリ観光の一貫でバルーンに乗って(朝4時半起き、、)サファリ内を1時間飛行したが、これも当然かなりのガスを使ってバルーンを飛ばしている。



次に行ったナクル湖国立公園で、フラミンゴを見ることとなる。ピンクのフラミンゴが無数に並ぶ風景は、この上なく美しく、非常に感動していたが、どうも湖の水位が低そうなので、ガイドに聞いてみると、ここ最近、水がかなり減ってきて、湖のサイズが小さくなってきていると言う。不勉強なので、原因が何かは分からないが、アル・ゴアの「不都合な真実」を思い出させる。



とはいえ、罪悪感に苛まれただけの休暇ではもちろんない。生物の多様性、食物連鎖、生物の進化、そして人間の環境に与える影響などを素直に考えるいい機会であり、シエラレオネでは食べられないものも食べたし(Sarova Stanleyホテルのタイレストランはお勧め)、よく睡眠もとれたし、ずっと読みたかった本も読めた。

さて、たまったE-mailの処理を始めよう、、、。

2008年8月21日木曜日

サファリ デビュー

後1時間で、シエラレオネを後にし、一週間ケニアのマサイマラ・サファリに行ってくる。アフリカで1年半過ごした中、まだ一度もサファリを経験したことがないので非常に楽しみ。荒野のど真ん中を動き回るサファリと言っても、お金を払えばかなりラクジュアリーなサファリ生活ができるらしい。インドネシア時代の友人はバリなみの快適さを味わえると言っている。楽しみ楽しみ。

2008年8月18日月曜日

オリンピックでのパフォーマンスと開発の度合い

今日仕事から帰って、なんとなくオリンピック中継を見ていて、ふと思った。オリンピックのパフォーマンスと、国の開発度合いに相関性はあるのか?

8月18日現在のメダル獲得数では、トップ10のうち、6国(米、英、豪、独、伊、日)がOECDのメンバー。さらに2国(露、韓)はOECDのオブザーバーとして、先進国の仲間入りをするまであと少し。ウクライナと中国が例外とはいえ、両国ともすさまじい経済発展を遂げている。北京以前2回のオリンピックのメダル獲得数を見てみたが、上位10国はほとんど同じ。10位以下を見ても、スペイン、フランス、オランダ、カナダなどの先進国が並ぶなか、ポーランド、チェコなどの新興国が入っている。そして、ケニア、ジャマイカという「途上国」もここでやっと登場する(途上国とは言え、最貧国ではない)。過去の記録では、ここの枠に、キューバ、ブラジル、べラルースなどの国がが入っていた。ざっと見てみただけでもやはり国の発展状況とオリンピックのパフォーマンスに何らかの関係がありそうだ(ちなみに、シエラレオネチームはまだメダルを取っていない)。

基本的ヒューマン・ニーズの理論から言っても、スポーツは、衣食住のあとのあとにくるだろうから、これらのニーズを満たす前に、国家としてスポーツに投資すると言うのは難しい。アンピュティーのサッカーチームと話していても、ただ練習試合に参加するための、乗合タクシー代が出せないという状況を考えれば、運動選手からしても、技術向上はなかなか難しいのだろう。

2008年8月16日土曜日

Wii大会

今日は、フリータウンに在住する日本人ほぼ全員があつまり、Wii大会が催された。WiiスポーツとWiiフィットの2ソフトで遊んだ。
テニス、ボクシング、野球、ヨガ、ボーリング、ゴルフ、バランスゲーム、など、ほぼすべてのゲームを制覇。場所としてつかったスペースに、大画面のテレビがあったため、臨場感も抜群。皆汗だくになり楽しんだ。ボクシングで疲れて腕が上がらなくなったと言う人もいた。
日本から遠い西アフリカでも、日本のカルチャーは健在。アフガニスタンで働く友人もWiiフィットを購入したということで、そこでで同様の大会が催されるのも遠くない。二つの場所をつなげて対戦などできるのだろうか。
  

2008年8月15日金曜日

国連でどういうスキルが必要とされる(べき)か

今日の午後、2時間ほど、我々の組織のシエラレオネ議会に対する支援について議論をした。ボスであるうちの副所長、アメリカ人アドバイザー、フィリピン人コンサルタントと私の4人。論点の一つが、今見直しに向けて支援をしている、国会議員の給与体系について。

去年の議会選挙で、ほとんどの議員が新しく選出された一年生議員であることは以前書いたが、彼らのもっぱらの関心は、自分たちの給料。もちろん、これほどの貧困レベルの国では、自分たちの給料の水準は死活問題なので、彼らが気になるのはしょうがない。(が、あまりにもストレートすぎる、、)。

では、どうやって、議員の給料を決めればいいかというと、それほど簡単ではない。他の国と単純に比較しても、発展度合いも、国民一人当たりのGDPも、物価水準も異なる国の給料を単に引っ張りだしてきても意味がない。そもそも、シエラレオネの国家予算がどのくらいで、その中で議会にいくら振り分けられるか。また、どういったセクレタリアットの機能が重要で、どれほどの、どういった人材を必要とするのか。そして、物価、国家公務員の給与、他の民間企業などの給与レベルとくらべ、どのようなレベルで設定したいのかをよく議論しなければいけない。

途上国のガバナンスといった課題についてのアドバイスをする我々の機関としては、いくら政治理論を理解しても、こういったスキルがなければ、意味がない。 我々のビジネスモデルをしっかり見直し、本当に必要なスキルを洗い出し、採用基準にもよりダイレクトに反映させるべきではないか。

2008年8月13日水曜日

道がふさがる

シエラレオネにいると、しょっちゅう交通渋滞がある。

もっとも多い原因は、車の故障。普通の道の真ん中で、車が動かなくなるのだ。これが大きなトラックということも多く、道の半分が完全にふさがる。こうなった場合には、さらに双方行の車が狭い道路を通ろうとし、結局完全に道がブロックされる。多くの車の所有者は、車を定期的に修理をするお金もないし、車検制度みたいなものもないので、壊れるまで車を走らせる。

2番目に多い原因は、乗り合いバスやタクシーの停車。彼らは、どのような道路でも、客がいればいきなりストップし、客を拾う。これが町のいたるところで起こっており、交通は停滞する。

先日は、通勤ラッシュ時に、最も込み合う道路で、大きなトラックが停止し、荷物の積み下ろしをしていた。このため両方向に200メートル以上の大渋滞が起こり、みながキレまくっていたが、トラックの所有者は何食わぬ顔をして作業を続けていた。

さてまた別の日には、このように(↑)道沿いの木が強風で倒れ、長い交通渋滞を起こした。これは道路沿いの住人が、木を真っ二つに切断し、比較的早く処理がされたようだ。

明日は何が道路をふさぐのか。

2008年8月12日火曜日

シエラレオネの軍隊と警察

今日仕事からの帰り際に、シエラレオネ軍の兵隊が道路整備をしていたので、ドライバーのヘンリーにそれとなく聞いてみた。今の軍隊は、以前に比べて統率がとれていると思うか?- まあよくこういう質問をよくヘンリーに聞いてみるのだが、やはり、ドナーが書く報告書を読んだり政府高官と意見を交換するとともに、「一般人」の肌感覚を理解するのは非常に重要だと思っている。

ヘンリーが言うには、格段の違いがあると。2002年の終戦以降、IMATT (International Military Advisory and Training Team)と呼ばれるイギリス軍主体からなる組織が、シエラレオネ軍のあらゆる分野でのトレーニングを行っている。コスト的にはかなりかかっているようだが、その甲斐もあってか、軍隊の規律は格段に向上していると言う。以前は兵隊の横柄な態度は目に余ったと言って、過去の出来事を話してくれた。

1993年頃に、ヘンリーは彼の叔父さんに会いに地元に戻った。彼の叔父さんの経営する地元の酒屋で、一人の兵隊が1ガロン(3.785リットル)のパームワインを飲んで泥酔していた。その兵隊は代金を払わずに、店を後にしようとしたが、この兵隊の横暴な態度にヘンリーは激怒して、「お金を払うか、私を殺すかどちらか選べ」と言って、兵隊に真っ向から対抗した。ヘンリーは打たれまいと、兵隊が手にしていた銃を奪い、取っ組み合いのけんかになった。村の住民が騒動を聞き、周りを囲んだ。他の兵隊2人が来てヘンリーを逮捕しようとしたが、住民が一部始終を見ていたのでそれも出来ず、結局この兵隊を車にのせその場を去った。

以前は相当、銃器を所持していることから、国内で「幅を利かせ」好き放題していたが、今のシエラレオネ軍の行動は見違えるものがあるという。

一方、国内の治安を維持する警察はどうかと聞いてみた。ヘンリーが言うには、全く駄目。賄賂を要求することが逆に最近増えているのではと言っていた。特に町中で運転をしているタクシーや乗り合いバスのドライバーは一番被害を被っているらしい。何かと言えばケチをつけて、1000円ほどの賄賂を要求すると言う。1000円と言えば、公務員の月給が1万円に満たないシエラレオネにとっては、計り知れない額となる。また、何か問題を調べてもらいたいときにも、賄賂を腹わなければ何も行動しないと。もちろんこのような現象は、シエラレオネに限らず、どこの途上国(一部の先進国もだろう)でも存在するが。

2つの治安部隊のこの違いはどこに起因するのか。考えてみれば、警察に対しては、IMATTの様な大規模なトレーニング体制が存在しない。同様の大規模なトレーニングに対する投資が必要なのだろうか。

2008年8月10日日曜日

オリンピックに3人参加

北京オリンピックが始まった。私も雨で衛星の電波が不安定な中、テレビに釘付けになって見ている。シエラレオネからは3人が参加している。陸上が2人とボクシングが1人。シエラレオネは、国連の人間開発報告書で、最も人間開発指数が低い国だが、そういった中でも3人を参加させることができたようだ。

少し気になったので、「ホットスポット」とされる、紛争中・紛争後の国のオリンピック参加状況をランダムに調べてみた。
結果は以下の通り:
  • アフガニスタン:4人
  • イラク:4人
  • コンゴ:5人
  • 中央アフリカ共和国:3人
  • ネパール:6人
  • ハイチ:6人
  • 東ティモール:3人
  • ブルンジ:3人

絶対数は少ないが、国の大変な状況にも関わらず、参加者がいる。オリンピックに参加することが自国の開発に直接関係はしないだろうが、国のプライド、自信、モティベーションをあげる効果は計り知れない。

2008年8月9日土曜日

雨季

ここ数日雨が止まない。私の住むヒル・ステーションでは、さらに霧がかかる。日中でも車を運転するためにヘッドライトを点灯させなければ危ない。

この雨と霧のおかげで、部屋の中もじめじめする。ジャケットなどにはカビが生え、洗濯物も乾かない。この対策に買った除湿機も以前の電気サージで壊れたままなので、たまにクーラーをつけて除湿している。また、雨が激しい時は、衛星放送が入らなくなり、インターネットもダウンする。

一方、雨季のいいところは、水がふんだんにあること。家には、水道が通っていないため、乾季にはトラックで水を定期的に運んでもらうが、雨季の間は雨水を集めるだけで十分。飲み水以外はこの雨水でなんとかなる。

雨季が終わるまでまだ数か月ある。

2008年8月8日金曜日

貨幣の量

今日約20万円を銀行からおろした。これほど(←)の束になる。一番大きい貨幣の単位が1万レオン(約300円)だが、5000レオンの貨幣で渡された。鞄に入りきらないほどの量になる。
とはいえ、ジンバブエでは、220万%のインフレ対策(?)として、最近10ビリオンドルの貨幣が発行されたと読んだ。ここまで来ると何が何だか分からない。ジンバブエに比べればシエラレオネの貨幣の量は問題にならないのだろう。

2008年8月6日水曜日

開発援助の裏方仕事

私の属する国際機関の先輩、Nさんがブログを始めた。その名も「開発援助の裏方仕事」。Nさんは、我々の属する組織へのERP導入を指揮した人で、今月末あたりから、管理局でIT関係のダイレクターとしての仕事を始める。個人的にも、何度か一緒に本部関係の仕事をさせていただいたこともあって、今後のブログの内容を楽しみにしている。

「裏方」と本人は言うが、ITの開発援助に対する影響は計り知れない。また、組織内でのITインフラの向上と管理は、ダイレクトに組織のパフォーマンスに影響を及ぼす。

開発援助、平和構築分野などでキャリアを築いていこうとする人たちは往々にして、表舞台での仕事(フィールドでプロジェクトを作ったり、回したりする仕事)のみを考えるだろうが、こういった組織の理念やアイデアを具体的なビジネス・プロセスとして落とし込む、バックボーンがしっかりしていなければ、素晴らしいアイデアも絵にかいた餅になる。「裏方」の、地道で堅実な仕事が開発援助を支えている。

2008年8月4日月曜日

助っ人

今日2人新しく助っ人がやってきた。一人は評価関係の仕事を担当するローカルスタッフ。もう一人は、シンガポール人のインターン。二人とも私の仕事を手伝ってくれることになっている。オフィスが狭いので、オフィス・スペースで少し苦労しているが、、、。

何はともあれ、チームがいるのはいいことだ。2人の助っ人の助けで、よりよい仕事が出来ればと思う。

2008年8月3日日曜日

平和構築の現場を渡り歩く人たち

地方選挙が無事に終わり、選挙支援チームにいた人々たちがどんどんとこの国を去っていく。次の選挙プロジェクトを探す人や、自国に帰って少しゆっくりする人などなど。一人はイラク(アンマンから働くのではなく、バクダッド)に行くと言っていた。「怖くないの?」とありきたりなことを聞いたところ、「怖いけど、仕事がSexyなので断れない」と言っていた。(シエラレオネも、「ブラッド・ダイアモンド」でこの国を知った人にとっては、非常に危険なイメージがあるのかもしれない。)

そもそもそういった場所での国連のオペレーションが大きく、雇用機会もそれだけ多いこともあるだろうが、こういった危険地域を好き好んで動く人も多いと感じる。国連の存在意義が大きいということと、アドレナリン中毒的なもののミックスだろうか。