2008年3月29日土曜日

Total Cost of Jerks - TCJ

しばらく前に読んだ記事で、記憶に残っているものがある。それが「Building the civilized workplace」だ。この記事は、職場で「Jerk」(日本語では、「うっとおしい人」とでも訳せばいいのだろうか)の存在は他人を不快にさせるだけではなく、組織の生産性を低下させるというもの。この「うっとおしい人」とは、こういうことをする人だという:


  • 個人の誹謗・中傷
  • 頼まれてもいないのに体に触ってくる
  • やる気をなくさせるようなEメールを送る
  • 悪い目つき (Dirty Look)を送る
  • ある職員を存在していないかのように扱う

リストを見ると「ハラスメント」を言い換えたようなものとも言えるかも知れない。このような、「非文明的」な行動は、被害の対象となった職員の仕事に対するモティベーション低下、人事部のこれらのケースに対する時間など、組織の非生産的側面に大きな影響を与えるという。さらに、こういった行動は、組織内で「感染」し、同じようなJerkを作ってしまうとも言っている。ある試算によると、一人のJerkの組織に対するコストは、年間1千7百万円程ととなったらしい。面白いのは、Total Cost of Jerksという概念は、かなりアメリカのビジネスで浸透しているようで、TCJというアクロニムまで出来上がっている。あるアメリカの会社では、社訓として「Jerkを雇わない」というものまであるそうだ、、、。

さて、このような行動規範というか職場での倫理感というものは、なかなかつかみどころがないため、たとえば途上国での行政改革を行う際にほとんど出てくることがない。そのため、機能分析だとか、給料体系見直しだとか、IT導入だとか、KPI設定だとか、「ハード」なシステム周りの設計が改革の中心となる。確かにこれらは非常に重要で、私個人をこういった分野ばかりに関心が向かいがちだが、結局は個人の行動様式が変わらなければどのような仕組みを作っても行政の効率性は上がらないだろう。自分の職場を見ても、やはり、個人のもつ職業倫理、他の同僚とのチームワークが生産性に大きな影響をもたらすことは明らかだ。その意味では、シエラレオネの新政府の打ち出した「態度の変革」キャンペーンは面白い。政府内でのプロフェッショナリズム向上、国民のレベルでは、「公共の物を盗まない」など態度の変化を求めている。効果を図るのは困難だろうが、こういった分野に対する関心自体は正しいのではないかと思っている。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

このキャンペーンおもしろいですね!
政府の人たちなどこれまでコラプションでおいしい思いをしてきた人たちがこういうキャンペーンで組織を改革していこうという意思があるということ自体が結構驚きです。
普通はおいしい思いをしてきた人たちの子供たちがまたおいしい思いをできるポジションに就き、自分たちのポジションを守るために、あえてこうした問題に取り組まないということが多いのではないでしょうか。これは日本もきっと同じですね。
世の中の問題というのは国家同士の戦争であれ、ご近所さん同士のいがみ合いであれ、結局は個人個人のエゴが大本の根底にあるのではないかというのが私のひそかな仮説です。
誰かのエゴを突き通すためにまわりの誰かが画策して、その人のために誰かがまた加わり、、、そうして大きな戦争に発展していくのではないかという気がしてなりません。。。
もしもそうなら、みんながエゴを控え合えば、いろんな問題があっという間に片付いてしまいそうな気がしますが、エゴは永遠になくなりませんね。。。私もエゴまみれなので精進しなくては。。。まずは自分の周りからですね。

ついつい長々と書いてしまいました。

中村俊裕 さんのコメント...

エゴを健全な方向に使えば(例えば市場メカニズム)、ポジティブな結果も生まれますよね。

ちなみに、ブログ最近アップデートしてないようですが、どうしたのでしょうか?鹿児島の写真でも載せてちょうだいな。