2008年6月3日火曜日

日本の行政から学ぶこと

たまに日本に帰ると、いい面も悪い面もやはり途上国との違いを感じる。先日、大阪に帰った際、日本の自動車免許の更新するため、大阪府警の監督下にある門真の運転免許試験場に行った。その時のプロセスを書いてみよう。

8時45分の試験場開始時間の少し前についたが、もうかなり人が来ている。試験場の「案内人」の指示に従い、まずは、印紙を購入するために列に並ぶ。私の前には100人ほどいただろうか。窓口が3つあるので、3列に並んでくださいと言われる。15分ほどで私の順番が来て、2800円の印紙を買う。「次は免許のコピーをするので窓口2番に行ってください」と言われる。

この2番でも4つの窓口に合わせて4列に並ぶ。待つこと10分ほどで私の番がくる。免許を渡し、担当官が四角い機械に挿入する。期限前更新だったため、理由を聞かれる。「シエラレオネ」を一字ごと5回ほど説明した。「次は視力測定です。5番の窓口に行ってください。」とのこと。

5番の窓口にいくと、視力測定器の4台に合わせてまた列ができている。一人所要時間は20秒ほど。視力は問題なく、「次は7番窓口へいってください」。ここで、視力検査の結果を渡す。何か紙に書いていたが何をしているのかがよくわからず。「次は写真をとります。10番窓口まで行ってください。」

ここまで行くと、また100人ほど待機している。二人の担当官がワイアレスマイクをつけて手順を説明する。「今から5人の名前を呼びます。名前を呼ばれた方から順番にここを先頭に並んでください。」待つこと20分ほど。やっと名前を呼ばれる。写真をすぐにとり、「最後に講習を受けてください。」と青い紙を渡される。「優良者講習:別館2階10:40分-11:10分」と書いてある。二階に上がると、教室の前で1人立っており、「こちらです」と誘導してくれ、講習の教材を渡される。席につきしばらくすると、講習前の時間を使い、700円で購入できる「優良運転者カード」なるものの宣伝が始まった。メリットはあまり理解できなかったが、、、。

そして10時40分きっかりに教官が入ってきて、優良運転者向けの講習が始まった。おもな内容は、過去数年間の交通道路法の改正の概要、大阪府下における交通事故のトレンドとおもな原因について。その過程で、声を大きくしたり小さくしたり、電気をつけたり消したり、スライドを使ったりして、注意がそれないように気を使っているのが見受けられる。最後に、「ぜひ、xxとxxの2点に気をつけてください。」といって講習は終了。最後に新しい免許証を受け取る。これも名前を呼ばれた順に前に行き、前におかれたかごに先ほどの青いカードを返却したのち、免許証を受け取る。晴れて今後5年間有効な新しい免許を獲得。

仕事柄、開発途上国の行政機構とどうしても比較してしまう。この運転試験場の行政は、もちろんオンラインサービスやその他のオートメーションで、ビジネスプロセスを効率化できる部分はたくさんある(それもかなり)。しかし、このプロセスをGivenとして考えると(大きな前提だが)、オペレーターとしてはなんとも素晴らしい仕事ぶりではないか。まず、すべてのプロセスが、かなり細かくマニュアル化されている。その細かいプロセスを皆が完全に理解し、それを几帳面にすべて実行している。時間もきっちり。運転者の過去の違反・事故記録によって変えられる講義内容も悪くない。行政の末端まで新しい法律が理解されて、運転者に対しても要点を簡潔に伝えられる。同じプロセスを設計しても、シエラレオネではほとんど機能しないだろうが、この日本のDisciplineにはいつも感服する。

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