2008年6月8日日曜日

コモン・ウェルス:込み合った惑星の経済

今日は家のベランダで、ジェフリー・サックス氏の新刊「コモン・ウェルス:込み合った惑星の経済」を読んだ。コロンビア大の教授で、国連ミレニアムプロジェクトの統括者でもある。かなり分厚い本で、内容も濃いが、一言で言えば、「ODAを増やし、かつ政府、企業、NGOなどがそれぞれ特有の役割を果たせば、現在地球が直面している、環境、人口、そして貧困の問題は解決出来る」という要旨か。

彼は、開発を成功させる要因として、(1)はっきりとした目的・ゴールがあり、(2)そのために効果的に使用し、かつ応用できる技術が存在し、(3)実行戦略がはっきりしており、そして、(4)大規模の資金があることの4つをあげている(p296)。

4番目の点と関連して、アフリカ緑の改革基金、世界インフラ基金、世界教育基金、世界コミュニティー開発基金などの新基金の設立を提言している。(p302)これは、なかなか面白い。あまり目新しくはないが、さらに、社会ベンチャーキャピタルや、NGOでのイノベーション推進、CSRの強化、技術的革新を推進するための研究開発への更なる投資、国連改革などを提言している。普段、自分の係わっているプロジェクトに没頭しがちな私としては、かなりマクロな視点から書かれているこの本を読むことにより、一歩高い所から開発援助を考える助けにはなる。


一方、開発のソフトな側面が弱いような気がする。以前にも「The Bottom Billion」に関連して書いたが、個人的には、国の発展は、これらのハードな戦略と同時に、途上国のリーダーシップと貧困層にいる人々たちのマインドセットをどのように変えていくかにかかっているような気がする。これはもっと小さい1つの企業のスケールで考えても、戦略・ゴールをつくって、ワークプランを作り上げて、お金を投資をしても、従業員一人一人の意識と行動が変わらなければ何も変わらないように。そして、プロジェクトXなどで浮き彫りにされているような国民のアツい心と行動が日本の発展をもたらしたように、、、。

では、途上国のリーダーシップと、貧困層の人々をインスパイアするにはどうすればよいか。手前味噌で申し訳ないが、シエラレオネで開始した、「開かれた政府プロジェクト」は、その第一歩だと考えている。さらに、ここ最近考えているアイデアがあって、実現の方向性を色々考えている(一度頓挫した、、)。ちょっとぶっとんだコンセプトに興味がある人は一緒に議論できればと思う、、、。

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