2008年6月29日日曜日

ゲームを平和構築に

最近、任天堂のゲーム機、Wiiで遊んでいる。ゲームソフト自体はWii フィットWiiスポーツだけしか持っていないが、かなり楽しめる。私の小中学生時代のファミコンブームも横目で見ていただけで、今までゲーム機を所有したことがないので、最近のゲームがこれほど緻密で洗練されたものだとは知らなかった。
Wiiフィットは、ご存じのように、ヨガ、筋力、バランス、エアロビクスの4種類の運動ができる。減量の目標値を決めたり、自分の過去の点数と競わせたり、運動のTipがところどころで出てきたりで、運動を継続させ、動機づける様々な仕組みを凝らしている。今まであまり使っていなかったような筋肉を使わされ、なんとなく効果があるような気がしている。ここでの運動不足」も解消されるか。
さて、近年のゲーム機、ソフトの発展に伴い、このゲームを単なるエンターテイメントにとどめるだけでなく、もう少し「シリアス」な、社会的に有意義な目的にも活用しようという動きがある。その名も「シリアスゲーム」といわれ、「公共政策、ヘルスケア、教育、経営等の多様な社会問題に対応するゲームまたはゲーム技術とその活用」のことを指す。日本でもシリアスゲーム・ジャパンなる団体ができてシリアスゲームの普及を図っているようだ。
それでは、国際開発・平和構築とゲームを「くっつける」ことはできるだろうか?例えば、ある農村を対象にしたプロジェクトのマネジメント手法をシュミレーションするとか、選挙支援の計画立案から執行をするとか、新入社員を対象にドナーから資金を調達する訓練をするとか。もう少しポリティカルな設定で、平和構築委員会で、ある国の代表として参加し、自国のポジションを主張するなど。実際世界食糧計画はこのさきがけとなるFood Forceというゲームをつくり、今まで貧困問題に興味を向けていなかったような若者層の意識変化に影響を及ぼしているようだ。食糧問題を越えた、様々な開発援助・平和構築分野でのゲームの活用もできるはずだ。

2008年6月26日木曜日

雨季の始まり

シエラレオネの雨季は6月後半頃から始まる。今年もここ数日激しい雨が降っている。夜はすさまじい勢いで屋根を打ち、その騒音で時には何度か目覚める程。日中は道路が水で溢れ、交通が滞り多くのスタッフの出勤が遅れる。確か去年は10月位まで雨季が続いたような気がする。

去年の大統領選挙はこの雨季の真っ最中に行われ、多くの人が雨の影響を心配したが、選挙当日には雨は止み、皆が胸をなでおろした。今年の地方選挙も7月5日に行われるが、これも雨季の真っ最中。選挙に影響がないことを願う。

2008年6月24日火曜日

小さな卒業

私は、2004年の9月からLEADプログラムという制度に入っている。この制度は要するに、将来的に組織の幹部として働く人を雇い教育する制度ということになっている。

毎年15人ほどが入ってくるが、私の同期では、博士号を持つ最年少27歳(2004年現在)のインド人のエコノミスト(アジア開発銀行のヤング・プロフェッショナル・プログラムをやめて入ってきた)から、最長は36歳のOSCE広報官として長い経験をもつイタリア人など年齢はばらばらでバックグラウンドも様々。プログラム最初のニューヨークでの2週間の研修以来(毎晩飲みに行きました、、←)、同期としての結束は固く、世界中に散らばっている今でも頻繁にやり取りしている。日々の仕事上でも関係がある同期もいる。

これは原則4年間の制度で、今年が最終年。今年の5月末に本部の人事部で、このプログラム最終年にいる同期生の審査が行われた。それ以来音沙汰が無かったのでどうなったかと思っていたが、今日の午後ニューヨーク本部から手紙が届いた。今月(6月)いっぱいで、無事LEADプログラムから卒業とのこと。まあ卒業したからといってすぐに何が変わるわけでもないが(しばらくシエラレオネで働くことに変わりはない)、自身のキャリアの小さなフェーズを終えることになる。小さな卒業と言えるもので、少しノスタルジックな気持ちになる。ジュネーブの危機予防復興局での仕事から、インドネシアでの津波復興事業(↓津波直後のアチェ)、オフィスの新部署立ち上げ、シエラレオネでの平和構築基金プロジェクトサポートなど、幅広い経験をさせていただき、非常に有意義な時間をすごした。その間に多くの素晴らしい人々にも出会えた。


この過程で迷惑をかけた方々には真摯にお詫びし、助けていただいた方々には深く感謝の意を表したい。

2008年6月23日月曜日

シェイクスピアは読むべきか

昨日の会議で、議論が煮詰まってきた時に大統領のアドバイザーが、「今の議論は、シェークスピアを思い起こさせる」といって、長い一節を引用した。私の隣に座っていた上司も知っているようで、同じ文章を諳んじた。

実を言うと私はシェイクスピアなど一冊も読んだことがない。原作を映画化したものをいくつか見たことがあるくらい。こういった場所で気の利いた対応ができるように、シェイクスピアを読むべきか、、、。

2008年6月22日日曜日

今日の半日

今日は日曜日だが、大ボスに呼ばれて朝9時から午後3時まで仕事。明日の大事なミーティングに向けての準備のためだ。 これ←はオフィス。







朝食もまともに食べずにオフィスに来て、ランチも食べる時間がなかったので、空腹感は絶頂に達し、3時にミーティングが終わり次第、隣のBashaという簡易食堂に駆け込む。レバノン料理のシャワルマを食べながら、 最近あまり野菜を食べていないことを反省。










ところで、今朝マイカーでオフィスに向かっているとき、どうも車が左に左にずれていくので、ドライバーのヘンリーにチェックしてもらった。案の定、前タイアのスプリングが壊れており、約8000円かけて部品を取り換えた。ちょうどシャワルマを食べ終わる頃に、ヘンリーが修理場から車を乗って帰ってきてくれた。しかし、この車、管理費もばかにならない。1-2か月に一度どこか調子が悪くなりそのたびに5000円から1万円位修理費がかかっている。

今晩は明日に向けての書類の準備に費やされるだろう。でも夕方のジントニックは欠かさない、、、。

2008年6月21日土曜日

免税ショップ PX

国連の平和維持局が活動を展開している国にはたいがい国連内にPXと呼ばれる「免税店」がある。今そこから帰ってきた。
PXでは、食料品を中心に品を取りそろえている。例えばワイン。イタリア、スペイン、フランス、アメリカなどから輸入しており、時には空港の免税店よりも安い時がある。パスタはイタリアの「バリラ」ブランドも置いてあり、イタリア人などは大喜びしている。その他ジュース。これが結構他のスーパーでは置いていない100%ジュースがあり助かる。種類は多くないが、ハムやチーズなどの生鮮食品も置いてある。国連で働く人の他、各国の外交官にも開かれており、多くの人が利用している。通貨は米ドルが使われている。値段はものによって違うが、レバノン人経営のスーパーの半分くらいか。

さて、現在のUNIOSILは今年9月からマンデートが代わり、政治局の元で新たなミッションとして生まれ変わるが、多くの人がこのサービス享受していおり9月以降もPXが継続するか気になっている模様、、、。やはりシエラレオネのような国で住むためには、PXのようなインセンティブが必要なのだろうか、、。

2008年6月20日金曜日

アフリカめしとジントニック

オフィスのまわりにあまりレストランなるものがないので、ランチには、よくオフィスの簡易食堂のごはんを食べる。メニューはあまりバラエティーがないが、今日は豆をパーム油で料理したものに、ご飯、チキン、そしてプランテーン(バナナに似てる)が出てきた。見た目は悪いが、結構いける。特に豆はうまい。パーム油なので、体にはすごく悪いのだろうが、、。これで300円位。このチキンがなければ値段は半額。

さて、今日は少し早目の6時過ぎにオフィスを出て家に帰ってきた。家の回りのお世話をしてくれている「ソリ」君に、木からライムを取ってとお願いする。自家製(?)の「ライム取り機」を使って器用に取る。こんな感じ↓。収穫後は、下から3階まで投げてもらう。

目的はジントニック。 収穫したライムをギュッとしぼる。


夕日がきれいなので、バルコニーでジントニックを飲みながら、今週の出来事を思い起こす。人生なかなか悪くない。

2008年6月19日木曜日

平和構築基金 技術レベル会議

今日、財務経済開発省において、平和構築基金のサポートを要請している8つのプロジェクトを審査する会議があった。テクニカルレベルの委員会で、政府の様々な省庁、ドナー、国連などから約40人ほどが集まった。去年、35ミリオンドルがシエラレオネに与えられたわけだが、今までで16ミリオンドルがプログラムされており、残りは約19ミリオンドル。この委員会は、この残りのお金の使い道を技術レベルで決めることが仕事で、我々の機関からは、私と日本人JPOのY朗さんが参加。

平和構築基金の仕組みは、誰も彼も関わっており相当Inclusiveである上に国連改革の一環ということもあって必然的にプロセスが政治的になりやすい。開発は、平和構築は、非常に
奥が深い、、、。

2008年6月18日水曜日

平和構築分野の人材育成事業

昨日今日と連日で、「平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業」を担当している広島平和構築人材育成センター事務局のS田さんに会った。シエラレオネにはここ6か月で3度も出張に来ているというマニアっぷり。

昨日は、オフィスとJICAの日本人の友人たちと一緒に海岸沿いのAlexisというレストランで晩御飯を食べながら、昨年の研修生の現状や事業の今後の方向性などを教えてもらった。ちなみに、去年シエラレオネの国連選挙プロジェクトでUNVとして働いていたA子さんも第一期の「卒業生」。今日はオフィスまで来ていただき、もうすこし真面目に今後の提携の可能性について話した。

シエラレオネ政府の日本の貢献に対する期待は高い。日本の活動との提携をさらに増やしていきたい。

2008年6月14日土曜日

フリータウン国際カラオケ大会!

想像に難くなく、シエラレオネでは仕事以外、あまりすることがない。と言う訳で、色々工夫して遊んでいる訳だが、今日は日本人と外国人の人たちと「国際カラオケ大会」を開催した。場所は以前も紹介した「吉林」と言う中華系レストラン。

JICAの友人達の他、国連やNGOで働く、イタリア人、フランス人、コロンビア人、ケニア人が参加。総勢30人程の大きなパーティーとなった。

日本の曲、イタリアの曲、アメリカの曲などが入り混じる。来る前は、「いや、今日は僕はただ横で見てるだけだから」と言っていた人たち(特にイタリア人)が来てさっそくマイクを離さない。カラオケの本家日本人も少々押されぎみ、、。

途中で、隣でごはんを食べていた中国人グループがカラオケを歌いだし、我々の歌が聴き取れず少し問題になったがすぐに解決。

夜中の1時半で、私はもう家に帰ってきたが海外組はこれからナイト・クラブ(そんな大したところじゃないけど)に行くといっていた。シエラレオネの夜はアツい。



2008年6月13日金曜日

Condom Gives Protection and Satisfaction

これ、国家AIDS事務局が作ったポスター。休みから帰ってきたらオフィス中にペタペタ貼られていた。ビールを飲んでいるところから考えるとナイト・クラブだろうか。

このセンス、日本では考えられない。どうせならUltimateをProtectionの前に入れればいいのでは?

しかし、なかなかいい味だしている。

2008年6月12日木曜日

日本の平和構築への貢献

日本では、平和構築に対する取り組みが年々盛んになっている。

紛争終了から6年ほどしか経っていないシエラレオネでも、日本の平和構築に対する貢献は低くない。それを多くの人に知ってもらおうと、先月にTICAD IVに合わせて、
こんなものができた。援助の効率性、地方分権、小型武器回収、選挙支援などにおける、日本とのパートナーシップについて記述している。 以前紹介したJICAとの共同ワークショップについても触れてある。

ちなみに表紙は赤と白で日本の国旗をあらわしている。お米が日本米でないのはご愛敬。是非ご一読を。

2008年6月11日水曜日

途上国のビシャス・サークルをどう断ち切れるか

途上国は、財政源に乏しく、税金を回収する仕組みも回っておらず、よって税金も入らず、政府を回すお金もままならず、給料も低くなり、いい人は国際機関に持って行かれたり、海外脱出をはかる。いい人材が外に出ていくため、国内のキャパシティーが低下し、国の制度も整わず、投資も抑えられ、外国資金が来ても、交渉に負けてしまい、悪い条件のディールを飲まされる。そして財源が増えず、、、、まさに途上国のビシャス・サークル(負の循環とでも訳すのか?)。

シエラレオネには、ダイアモンドを筆頭に、自然資源が豊富にあるが、外国企業との利益配分に関して、悪い条件を飲まされていることが多いようだ。ということで、最近始まったプロジェクトはその不公平を正すことを目指している。今日からこのプロジェクトに関わることになったが、正直全く知らない世界。しかし少し調べてみると奥が深い。Revenue Watchなる自然資源からの収入の管理をモニターしているNGOもあるようだ。

しっかり勉強して、早く追いつこう。

2008年6月8日日曜日

コモン・ウェルス:込み合った惑星の経済

今日は家のベランダで、ジェフリー・サックス氏の新刊「コモン・ウェルス:込み合った惑星の経済」を読んだ。コロンビア大の教授で、国連ミレニアムプロジェクトの統括者でもある。かなり分厚い本で、内容も濃いが、一言で言えば、「ODAを増やし、かつ政府、企業、NGOなどがそれぞれ特有の役割を果たせば、現在地球が直面している、環境、人口、そして貧困の問題は解決出来る」という要旨か。

彼は、開発を成功させる要因として、(1)はっきりとした目的・ゴールがあり、(2)そのために効果的に使用し、かつ応用できる技術が存在し、(3)実行戦略がはっきりしており、そして、(4)大規模の資金があることの4つをあげている(p296)。

4番目の点と関連して、アフリカ緑の改革基金、世界インフラ基金、世界教育基金、世界コミュニティー開発基金などの新基金の設立を提言している。(p302)これは、なかなか面白い。あまり目新しくはないが、さらに、社会ベンチャーキャピタルや、NGOでのイノベーション推進、CSRの強化、技術的革新を推進するための研究開発への更なる投資、国連改革などを提言している。普段、自分の係わっているプロジェクトに没頭しがちな私としては、かなりマクロな視点から書かれているこの本を読むことにより、一歩高い所から開発援助を考える助けにはなる。


一方、開発のソフトな側面が弱いような気がする。以前にも「The Bottom Billion」に関連して書いたが、個人的には、国の発展は、これらのハードな戦略と同時に、途上国のリーダーシップと貧困層にいる人々たちのマインドセットをどのように変えていくかにかかっているような気がする。これはもっと小さい1つの企業のスケールで考えても、戦略・ゴールをつくって、ワークプランを作り上げて、お金を投資をしても、従業員一人一人の意識と行動が変わらなければ何も変わらないように。そして、プロジェクトXなどで浮き彫りにされているような国民のアツい心と行動が日本の発展をもたらしたように、、、。

では、途上国のリーダーシップと、貧困層の人々をインスパイアするにはどうすればよいか。手前味噌で申し訳ないが、シエラレオネで開始した、「開かれた政府プロジェクト」は、その第一歩だと考えている。さらに、ここ最近考えているアイデアがあって、実現の方向性を色々考えている(一度頓挫した、、)。ちょっとぶっとんだコンセプトに興味がある人は一緒に議論できればと思う、、、。

2008年6月7日土曜日

アフリカで牛乳を10分間放置すると

こうなる。コーヒーを入れている間、先に牛乳をコップに入れておいたところ、コーヒーができて戻るとこうなっていた。アリが何十匹(何百か)もたかっている。写真では見えないが、コップの外にも何百匹もうろうろしている。ちょっと感動したのでアップする。

家を空けていたのでゴキブリもかなり多いが、写真は自粛して載せません。

2008年6月6日金曜日

空から見るフリータウン

さっきフリータウンに帰ってきました。ルンギ空港にて、日本で買ったパナソニックのLumixでパチリ。やはり噂に聞いていた広角レンズが利いて、今までのカメラで撮った写真とは違う。しかしデータは結構重い。シエラレオネのバンドウィズでアップロードするのはかなり時間がかかる、、、。 見て分かるように雲が多く、雨季の訪れを感じさせる。今も雨がぱらついてきた。































フリータウンの写真をヘリコプターから撮ってみました。

































これはヘリポートのすぐ隣のラムリービーチ。きれいでしょ。






2008年6月5日木曜日

ザ・ファシリテーター

森時彦氏著の「ザ・ファシリテーター」を読んだ。フィクションの物語を基に、ファシリテーションと呼ばれるテクニックを使い企業の改革をしていくプロセスを描いている本。問題解決のロジックだけではなく、改革のもたらす社員の心理的側面とその対応策がかなりよく書けている。

筆者は元GEで働いていたようで、ワークアウトやストレッチゴールなどジャック・ウェルチのもとで導入されたGEの手法にもいろいろ言及している。その他リーダーズ・インテグレーションの方法や、ボールを使った会議の進め方、ニュースペーパーテスト、「拡散」と「収束」、「Wow」といった視点など、すぐにでも使えるような例がどんどんと出てくる(詳しくは読んでみてください)。

近年ビジネス界では、問題解決系の本が非常に多く出ているが、グループダイナミックに注目し、ここまで「リアル」な経営改革の本はあまり読んだことがない。ノンフィクションではルー・ガースナーの「巨象も踊る」(Who said elephant can’t dance?)やフィクションの三枝匡氏の「V字回復の経営」くらいか。

現在オフィスの改革プロジェクトに携わっているので、非常に参考になった。すぐにでもいくつかの手法を試してみよう。

2008年6月4日水曜日

日本のカフェ

日本のカフェはいい。今回も本を読んだり、友人と会ったり(写真は大学時代の同級生K太郎)、昼ごはんを食べたり、ブログを書いたりして過ごした。東京在住以来のお気に入りはNeuf Cafeという恵比寿のとあるビルの9階にあるカフェ。サルベーション・アーミーで置いているような家具を使っており(いるが?)独特の雰囲気がある。音楽のチョイスもよい。ご飯もおいしい。

シエラレオネでも「カフェ」と名のつく場所がいくつかあるが、日本のカフェとは違い、好きなことをして長居をするようなところではない。やはりうちのバルコニーが日本のカフェに一番近いか?

2008年6月3日火曜日

日本の行政から学ぶこと

たまに日本に帰ると、いい面も悪い面もやはり途上国との違いを感じる。先日、大阪に帰った際、日本の自動車免許の更新するため、大阪府警の監督下にある門真の運転免許試験場に行った。その時のプロセスを書いてみよう。

8時45分の試験場開始時間の少し前についたが、もうかなり人が来ている。試験場の「案内人」の指示に従い、まずは、印紙を購入するために列に並ぶ。私の前には100人ほどいただろうか。窓口が3つあるので、3列に並んでくださいと言われる。15分ほどで私の順番が来て、2800円の印紙を買う。「次は免許のコピーをするので窓口2番に行ってください」と言われる。

この2番でも4つの窓口に合わせて4列に並ぶ。待つこと10分ほどで私の番がくる。免許を渡し、担当官が四角い機械に挿入する。期限前更新だったため、理由を聞かれる。「シエラレオネ」を一字ごと5回ほど説明した。「次は視力測定です。5番の窓口に行ってください。」とのこと。

5番の窓口にいくと、視力測定器の4台に合わせてまた列ができている。一人所要時間は20秒ほど。視力は問題なく、「次は7番窓口へいってください」。ここで、視力検査の結果を渡す。何か紙に書いていたが何をしているのかがよくわからず。「次は写真をとります。10番窓口まで行ってください。」

ここまで行くと、また100人ほど待機している。二人の担当官がワイアレスマイクをつけて手順を説明する。「今から5人の名前を呼びます。名前を呼ばれた方から順番にここを先頭に並んでください。」待つこと20分ほど。やっと名前を呼ばれる。写真をすぐにとり、「最後に講習を受けてください。」と青い紙を渡される。「優良者講習:別館2階10:40分-11:10分」と書いてある。二階に上がると、教室の前で1人立っており、「こちらです」と誘導してくれ、講習の教材を渡される。席につきしばらくすると、講習前の時間を使い、700円で購入できる「優良運転者カード」なるものの宣伝が始まった。メリットはあまり理解できなかったが、、、。

そして10時40分きっかりに教官が入ってきて、優良運転者向けの講習が始まった。おもな内容は、過去数年間の交通道路法の改正の概要、大阪府下における交通事故のトレンドとおもな原因について。その過程で、声を大きくしたり小さくしたり、電気をつけたり消したり、スライドを使ったりして、注意がそれないように気を使っているのが見受けられる。最後に、「ぜひ、xxとxxの2点に気をつけてください。」といって講習は終了。最後に新しい免許証を受け取る。これも名前を呼ばれた順に前に行き、前におかれたかごに先ほどの青いカードを返却したのち、免許証を受け取る。晴れて今後5年間有効な新しい免許を獲得。

仕事柄、開発途上国の行政機構とどうしても比較してしまう。この運転試験場の行政は、もちろんオンラインサービスやその他のオートメーションで、ビジネスプロセスを効率化できる部分はたくさんある(それもかなり)。しかし、このプロセスをGivenとして考えると(大きな前提だが)、オペレーターとしてはなんとも素晴らしい仕事ぶりではないか。まず、すべてのプロセスが、かなり細かくマニュアル化されている。その細かいプロセスを皆が完全に理解し、それを几帳面にすべて実行している。時間もきっちり。運転者の過去の違反・事故記録によって変えられる講義内容も悪くない。行政の末端まで新しい法律が理解されて、運転者に対しても要点を簡潔に伝えられる。同じプロセスを設計しても、シエラレオネではほとんど機能しないだろうが、この日本のDisciplineにはいつも感服する。